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ダイエット目的で走りだしたはずだったのに、気がつくとサブ3ランナーとしてガチのマラソンマンに変身! メインはランニング&マラソンですが、時々「クールな嫁と明るい娘」に話が脱線(笑)      家族とマラソン、そして、酒とガンダムをこよなく愛する、男の日々をどうぞ!
プロフィール
HN:
RX-93
性別:
男性
自己紹介:
1972年生まれのアラフォー。
38歳の時、人間ドックでメタボを起因とする重度の高脂血症により死の宣告を受ける。
それでも大好きな酒がやめられず、飲みながらでも痩せらるよう、必死のダイエットに励みなんとか20kgの減量に成功。
その一環で始めたランニングは、既に趣味の域を脱し、遂にはフルマラソン出場まで果たす事に・・・。
(詳しくは、ホームページもご覧下さい)

フルマラソン
  ベスト 2時間48分43秒
  (2015年4月 長野)

ハーフマラソン
  ベスト 1時間22分01秒
 (2012年11月 諏訪湖)

100kmウルトラ
  ベスト 9時間28分20秒
 (2014年5月 野辺山)
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2016年5月22日(日)

この日は、「星の郷 八ヶ岳野辺山100kmウルトラマラソン」当日です。

昨日の記事、「 第22回野辺山100kmウルトラマラソン(前篇) 」では、スタートまでの様子を報告させていただきました。

今日は、その続きとして「本編」をお送りします。

しかし、タイトルは「地獄篇」。

非常に長文ですが、お付き合いいただければと思います。



・・・・・・・


先ずはコースのおさらいです。



非常にアップダウンが多い難コースです。「野辺山を制するものは、ウルトラを制す」という言葉が示す通り、日本屈指のタフな100kmです。

そんなタフなコースに於いて、今年はどんなドラマが待っているのでしょうか・・・



・・・・・・・



さて、スタートの号砲で無事にスタートした私は、100kmの長丁場を考慮し、序盤はセーブして行く予定でいました。

ので、オープニングラップは「4分30秒」と、アップダウンの少ないロードとしては、全く苦しくない、程よいペースでスタートすることが出来ました。


さて、朝もやの中走っていくと、農家の方々や牧場の牛に見送られながら、コース最初の難関である「横岳」の林間トレイルロードに向かっていきました。

このトレイルに入る前も、スタートから5km程の所から、やや勾配のある坂道を駆け上がっていくのですが、昨年はこの序盤から不調感があったのに比べ、今年は比較的良いリズムで坂を上がって行く事が出来ました。なので、「昨年よりもコンディションはいいぞ!」と、私なりに序盤の評価を下したのでした。



さて、

10km程すると到着した林間トレイル道。

ここからは、



砂利道の中を、一気に標高1908mまで駆け上がっていきます。
スタート地点の標高が1355mですから、そこから550mほど駆け上がっていく計算になります。

ちなみに足場が悪いので、同じ斜度でも舗装路とは比べ物にならない疲労が脚に襲いかかります。しかし序盤で脚を使いすぎると、後半に脚が効かなくなるので、きつい登りは歩きを入れつつ、足を大事に頂上を目指して駆け上がっていきました。


・・・・


さて、

このコースも、4度目となると、頂上がどこかを理解している分、逆に精神的にきついものがありました。

「まだまだ、頂上は先だぞ」

って思うと気持ちが萎えますが、そこは逆に「頂上まで行けば、気持ちよく林道を駆け下りられる」と自分を奮い立たせ、なんとか厳しい登りを駆け上がっていきました。



スタートから20km程で到着した「コース最高地点」。

ここから多少のアップダウンを繰り返し、一気に山道を駆け下りると、あっという間に25km地点。そう、全行程の4分の1の距離に到達しておりました。


ここまでのタイムは特に問題もなく、脚にも違和感を感じませんでしたので、ここまでは想定通り、つまり「順調だった」と感じていました。



・・・・・


さて、

順調だと思っていた今回のウルトラ。

しかし、最初の異変を感じたのは30km過ぎの下り坂に入った時でした。

「下りなのに歩きたい」

えっ!? 下りなのに?

そう思うのが普通です。

仮に後半に入って、脚がきつくなってきた頃ならともかく、まだ30kmを過ぎたばかりだというのに、いやに脚に疲労感を感じ、下りでペースが上がると心臓が苦しくなっていくのを感じました。

なぜだ? 朝のコンディションは悪くなかったはず・・・

自問自答すると、唯一明確に頭に浮かぶのは、

「走り込みが足りなかった・・・」

という事。

正にこれが真っ先に頭に浮かんだ言葉でした。



・・・・・・・


本来ウルトラトレーニングに必要なのは、ロングトレーニング。

50~60kmの距離を、休み休みで良いから走破するというもの。

しかし、昨年のウルトラ以来、50km走は全く未実施でした。

加えて、足のけがを治そうと今年の1~2月は、ほとんどランオフの日々。

3月に入り、危機感を覚えて実施したロング走も46km止まりの1回きりでした。

3月以降の普段のランでは、走っても30km止まりでしたので、今日の林間トレイルを含む激しいアップダウンの30kmで、既に脚が悲鳴を上げ始めてしまったのも、必然的な事だったのでしょう。

そうなると、懸念されていた左かかとの痛みは、徐々にズキズキと疼きだし、上り坂では顕著にその痛みを感じるようになりました。


しかし、まだまだ序盤。

タイムは悪くないので、とにかく脚を大事に残しつつ、前へ、前へと進んでいきました。


・・・・・・


35km手前に入り、「稲子湯」に設置されたお汁粉エイドに到着すると、



いつもの通りお汁粉を頂き、一息入れると共に、体の中へ、たっぷりの糖質を補給し、まだまだ続く旅の鋭気を蓄えさせて頂きました。


・・・・・・


稲子湯からの登りを登り切ると、そこは36km地点。そこから50km地点迄はほとんど下りで、ここでタイムを稼ぐのが去年までの常套手段でした。

しかし、

今年は脚の痛みで、思うようにスピードに乗れません。

それでも、序盤が昨年より速いペースで進めたおかげで、42.195kmポイントを通過した時に手元の時計を見ると「3時間43分」を指しており、結果的に去年とほぼ同じペースで、この地点まで来ることが出来ました。

ただ、

昨年と圧倒的に違うのは、残り58km近く残して尚、昨年に比べて圧倒的に余裕が無いということでした。

なので、

急な下り坂を駆け下りる際は、着地の都度「大腿四頭筋」が軋むような感覚を覚え、これまで上りにしか感じなかった、かかとの痛みは、遂に下りでも感じるようになりました。

更に山から里に下りるにつれ、気温もどんどん急上昇。

通常20度を超えるとマラソンは過酷になるというのに、フルマラソンの2倍以上の距離を、25度近い気温の中で走るのは、本当に意識すら刈り取られそうな錯覚を覚えるような感じでした。

現に、71kmの部に参加している女性が目の前にいたのですが、序盤飛ばし過ぎたらしく、泣きながら

「苦しい・・・辛いよ~」

と、苦悶の言葉をこぼし、大粒の涙もこぼしながら、スローペースになる足を必死に前に進めていました。

かと思うと、30代とおぼしき男性は、ふらふらしながら歩いては止まり、小首を傾げては独り言をぶつぶつ・・・そしてまた2、3歩歩いてはぶつぶつ言ってる姿を見ると、中盤に入り、そこかしこで色々な「地獄絵図」が垣間見えるようになりました。


そんな私にとっての地獄はというと、「痛み」と「疲労」と「気温」の3つで、今日ほどリアルにリタイアを感じることはありませんでした。


・・・・・


さて、

これまで、フルマラソンでは何度か「リタイア」を匂わすことはあったものの、その実「現実感」という意味では、少し遠い位置にあったと感じています。

それは、フルマラソンは所詮42.195kmですから、中盤できつくなっても残りは20km程しかありません。

これまで、「這ってでもゴールする」なんて耳触りのいい言葉を吐きましたが、サブスリーペースで走ってきた序盤の貯金を考えれば、歩いたり走ったりしてでも、十分制限時間に間に合う「打算」があったからこその完走でした。いわば「保障された完走」と言ってもいいと思います。しかしながら、今回は完全にヤバいと思った42km地点から、ゴールまでは60km近くも残っており、痛みが限界を超えた先には、歩きはもちろん「這う」ことすらままならない現実が待っていることを、本当に痛感せずにはいられませんでした。



・・・・・・


そんな必死の思いで到着した50km地点。

ここは、コース中盤の最大エイドですので、しっかりエネルギーを補給して、後半に備えたいと思いました。

ので、

ここでは、やっと食事らしい食事がとれる、名物の「信州そば」を頂きました。



プラコップに入った「わんこそばサイズ」ですが、穀物由来の糖質はもちろんのこと、汗で失った塩分も同時に摂取できるので、この瞬間だけは本当に生き還った実感がしました。

ここでは頭から水をかけてもらい、脚にも水をかけて、つかの間のクールダウンも行いました。

そのおかげで、限界が近いと思った足は少しだけ軽くなり、後半に向かう覚悟が整ったところで、このエイドを後にすることとなりました。

ちなみに休憩時間は5分ほど。

しかし、5分以上の価値ある時間となりました。



・・・・・・・


さて、

残す距離は「あと半分」と思いたいのですが、野辺山100kmは、ここからが本番。

50kmエイドのあった小海町から、北相木村を経由し、南相木村、そして最大難所の「馬越峠」を抜け、川上村に入るまで、厳しすぎるほどのアップダウンを経なければなりません。

そして、川上村の90kmポイントからも細かいアップダウンを経由し、本当にフラットな路面になるのは、ラストの3kmしかないという、難コースです。

もちろん、50km地点の標高は880mしかないのに対し、馬越峠の頂上は、標高1620m。そして、ゴール地点でさえも1355mありますから、アップダウンと言いつつも、圧倒的に登りが主体の行程へと切り替わるのが、この50km地点と言えます。


・・・・・・・


さて、

動くとはいえ、もはやジョグよりも遅いペースでしか進むことができなくなった私の脚。

北相木村を往復するアップダウンは、そのわずかな余力すら刈り取るには十分すぎるダメージを脚に刻んでいきました。

着地の度に襲い掛かる、左かかとの鋭い痛み。

それをかばって走ることで併発した、右すねの痛み。



遂に痛みに耐えられなくなり、ランニングベストのポケットから



バンテリンを取出し、1本使い切る勢いで両足の太もも、ふくらはぎ、そして左かかとに擦り込みました。

ここは、距離にして65km程行ったポイントでしたが、ここで塗った薬は、暗に残り35kmを完走するための「おまじない」のような行為でした。

なぜ「おまじない」と揶揄したかというと、それはバンテリンを塗っても、普段なら感じるはずのスーッとくる清涼感は、疲労しきった足、そして暑さで火照った足には何も感じず、本来欲しい「痛みが緩和した錯覚」すら起きませんでした。

そこで、仕方なくここで取り出したのは、わずか2錠しか持ってこなかった、最後のお守り。




そう、「ロキソプロフェン」です。

これを1錠手に取ると、背中に背負った水で一気に胃に流し込みました。


これで、少しは痛みが軽くなるはず・・・と、思ったのですが、強烈な痛みには処方箋すら効果は薄く、結局走っては歩き、また走っては歩くを繰り返しながら、徐々に、しかし確実に前に進んで行く事しかできませんでした。


もちろん、心は何度も折れそうになりますが、そんな中で自分に言い聞かせたのは、「歩きの1歩が50cm、ジョグの1歩の1mでも、前に出した脚は確実にゴールに近づいている」ということだけ。

当たり前のことですが、少しでもゴールに近づけている事実すら肯定できなくなったら本当にレースが途中で終わってしまうと思い、意識は「ゴールタイム」ではなく、「ゴールテープを切ること」だけに集中して前に進んでいきました。


・・・・・


処方箋の鎮痛剤すら効かない脚の痛み。

ふと道路沿いの酒屋の前をみると、




ビールの自販機がありました。


くそ~、

いっそのこと、

「酒でも飲んだ方が、痛みがまぎれるんじゃないか」

そんな不埒なことさえ、脳裏をよぎるようになりました。



・・・・・



前へ、前へと進んでいくと





目の前には延々と続く、長い急な上り坂が待っていました。

流石に、多くのランナーが歩いています。

私はというと、ここまで来ると足の痛みは、かかとだけにとどまらず、両足の足裏の足底筋まで痛くなり、足をつくたびに脳天に響く痛みがしました。

暑さと疲労で意識は朦朧としますが、この足の痛みだけが、確実に、そしてはっきりと「野辺山の100km」にチャレンジしている現実を思い出させてくれました。


・・・・・・・


さて、

100kmレースはこれで4度目。

もちろん楽なレースなど一度もありませんでした。しかも、レースの最中に味わうきつさは、毎回違う形で牙を剥き、その都度「自分の限界」と「弱い心」を必死に奮い立たせてくれました。

ちなみに

「なんで、こんなつらい思いをして走るのか」

などという、陳腐な愚問よりも、ゴールの達成感の方が大きく勝るこの大会。

ですから、ゴールに向かうことを唯一のモチベーションとして、一歩づつ、一歩づつ、歩を進めていきました。



・・・・・・


さて、

最終目標は、もちろん「ゴールライン」ですが、68kmを過ぎたこの頃に、先ずは目先の目標として掲げたのは「71km」のエイド地点でした。

気持ちとしては、


「そこまで行けば、預けた荷物を受け取れる。

そこにはシューズを預けてある。

靴をリフレッシュすれば、痛みは少なからず楽になる。

そうすれば、難所の馬越峠も抜けられる。」


そう信じて、ただひたすらに71kmを目指しました。




・・・・・・・



必死の思いで到着した、71km地点。


ここは、「71kmの部」の選手のゴール地点であると同時に、100kmの部のエイド地点にもなっています。





ここで先ずは、



お蕎麦を頂き、先ずは栄養補給。

そして、水分もたっぷりと補給しました。

コーラを1杯、スポーツドリンクを1杯、水を2杯頂き、背中に背負ったペットボトルにも水を補給してもらいました。

足の痛みに、疲労と、そして暑さという3重苦を背負っているので、これ以上の苦痛を背負わないように、食事による補給はたっぷりして「ガス欠」を防ぎ、水分もしっかり補給することで「脱水」を防ぐ作戦に入りました。


そんな「しっかり補給」をした後は、預けた荷物を受け取り、



バンテリンとグルタミンをランニングベストに突込み、シューズを預けておいたものに履きかえました。

尚、履き替える際には、両足を丹念にマッサージし、残り29kmを戦うだけの力をなんとか絞り出そうと、必死に、必死に足をさすり続けました。


そして全ての準備が整い、71kmのエイドを出発したのは、お昼12時05分、スタートから7時間05分が経過した時でした。

ということは、残り29kmを2時間55分で通過することは現状ではほぼ不可能なことですので、既に「100km10時間切りの『サブテン』」は、頭の中からすっかり消えているのでした。



・・・・・・


さて、

エイドを出発して、しばらく行くと



遂に最大の難所である、「馬越峠」入口に入りました。


このすぐ先には、エイドがあり、峠越えの栄養補給をしっかりさせていただきました。



そこで色々と食べ物を補給をさせて頂いていると、エイドのおばちゃんが

「ここまで走ってきて、すごいねぇ~」

「この先もがんばってね~」

「これも、よかったら食べて」

と、本当に親身になって色々話しかけてくれました。

そういえば、少し前のエイドでも、おばちゃん達と話をし、エールを頂いたことで、不思議と力が湧いてくるのを感じました。

ここでも同じで、きつい峠道が待っているというのに、エイドで食事のエネルギーを分けて頂くだけではなく、会話によって人の心のエネルギーも分けて頂くことが出来ました。そのおかげで、辛い中にも本当に力が湧いてくるのを感じることができました。



・・・・・・・


「頑張っている」


傍から見ると、我々の行為はそう映るかもしれませんが、我々にしてみれば、

「やりたいことをやらせて頂いている」

だけのことで、本来なら

「勝手に一人で100km走ってくればいい」

だけのことを、これだけ多くの人を巻き込んで、

「走らせて頂いている」

にもかかわらず、これほど多く人が声援を送ってくれる。

しかも、そのおかげで一人では絶対に完走できない距離を、ゴールに向かって進んで行けていることに、本当に心の底から感謝の念が湧いてきて、気がついたら

路上で涙が出ていました・・・



・・・・・・・・


さて、

馬越峠は、歩くことすらきつい峠道、エイドでもらった元気も、あっという間に枯れ果て、走ると痛む左かかとは、遂に「歩き」でも痛みを発するようになりました。

それでも、ただゴールするのではなく、「今できる全力をぶつけてゴールすること」が目標ですから、

「イッチ!、ニー!、サン!、シ!」

と、掛け声をあげながら走ってみますが、

「ジュー!」

というのが精いっぱいで、10歩走っては、30歩歩く。

そんな状況が続きました。


峠の中間エイドを抜け、6km程の峠道を何とか登り切ると、遂に最大難所の馬越峠頂上に到着しました。




ここまで来ると、完走率はぐっと上がるそうなんですが、実はきついのはここまでの上りよりも、今の私にとっては、ここから始まる85kmまでの6kmの下り坂の方がきついとも言えました。

どういう事かというと、ボロボロになった足で坂を駆け下りようとすると、重力の力がもろに脚にかかり、大腿四頭筋へは引きちぎれそうな痛みとなって襲い掛かります。ですからここは、「下りなのに歩く人が続出する」というポイントでもあるのでした。

現にエイドにいた選手たちも、

「ここの下りは、走れない」

と、方々で言っておりました。


ま、中には、

「サブテンでゴールしたいから、ここからは「キロ4(1キロ4分ペース)」で、最後まで行くぞ!」

なんていう、冗談を大声で言って、気持ちを奮い立たせている人もいて、おかげでこっちも勇気を分けてもらいました。

で、そんな下り坂は、



歩きたい気持ちをよそに、重力が体を下に引っ張り、気がつくと走っているのですが、足の痛みで、ストップしながら前に進む。

そんな感じで、駆け下りていきました。


・・・・・・・・・



そんな「地獄の下り」を抜け、やっとの思いでたどり着いた87km地点。


ここは、コース最後の食事ポイントでした。

ここでは、



うどんがふるまわれていたんですが、このうどんが本当においしくて、おかわりも頂き、2杯のうどんを平らげました。

うどんを手に取った時に、この写真を撮っていると、エイドのおばちゃんから、

「すごいね~、写真撮ってるなんて、まだまだ余裕だね」

と言われましたので、

「ここまでは、足で走ってきただけなんで、シャッターを押す指だけは元気なんですよ」

と冗談で返し、

「おいしいおうどん、ご馳走様でした」

と、お礼を言って、



ついでに、のり巻きも頂いて、このエイドを後にしました。


・・・・・・


「炭水化物」

もちろんこれは糖質に変わるわけですが、糖質は長距離系で最も大事な栄養素の一つです。

なので、エイドでは「チョコ」等の糖分を置いていますが、この糖分は既に糖質になっているものなので、即効性がある反面、持続性が無いのが難点です。

その一方で、炭水化物は分解して糖に変わるので、その分持続性があるようですね。

現に、87kmエイドで頂いた炭水化物のおかげで、劇的に体力が復活した感じがし、90km地点まで歩くことなく走り切ることが出来ました。


・・・・・・・・・


90km地点

ここで、手元の時計を見ると丁度9時間半が経過していました。

ラスト10kmもアップダウンが多く、登りのほとんどは歩きが入ってしまいそうなコースです。

ですので、歩きと走りを混ぜると、1km辺り7分から8分もかかります。


「ラスト10km、

ここまで来たら、具体的な目標をもって進もう。」


そう決めた、最終目標は「11時間切り」でした。


ちなみにこれさえも、楽な設定でないことは、自分の脚が良く知っていました。


栄養補給で得た「から元気」は、90km地点で底をつき、走っては歩く・・・いや、歩いては走るという、歩き先行のような状況になっていました。


・・・・・


95km地点。

残り5km。

遂に本当の意味で「這ってでもゴールできそう」な所までやってきました。


「もうすぐ、長い旅が終わってしまう。」


万感の思いが胸に浮かぶ中、一歩、一歩、脚を先に進めていきました。



・・・・・・



ラスト2km。


ゴールまで、曲がり角が何度もある為、そのポイントポイントにスタッフさんがいました。

スタッフさんは誘導しながら、

「こっちですよ、お疲れ様、お帰りなさい!」

と声をかけてくれました。


ゴール近くの沿道からは、色々な人が

「ナイス・ラン!」

「お帰りなさい!」

と声をかけてくれました。


私はその全ての声に感謝をこめて、

「ありがとうございます!」

と、頭を下げて走りました。



・・・・・・



ゴールまでラスト100m。


ゴールテープを前に、最後の最後だけは、ありったけの力を込めて全力ランで駆け抜けました。

「全力で戦う」

その言葉に嘘が無いよう、最後の最後に残っているものをすべて吐き出すように、ゴールラインを超えました。



・・・・・・・・


ゴールテープを切った直後


「ありがとう・・・・」


コースに向かって、大きく一礼すると、スタッフさんが「フィニッシャーズ・メダル」をかけてくれました。


メダルをかけてくれた女性スタッフさんは、例年のごとく、

「来年もまた来てくれますか?」

と聞いてきたので、

「もう2度と来たくない程きついレースだから、また絶対に来年も来ます」

と返すと、

「やったねー!」

と、大声で喜んでくれました。



・・・・・・・



野辺山100km

何が魅力で、何が人を引き付けるのだろう・・・

参加する人はもちろん、ボランティアスタッフさん、沿道の皆さん、私設エイドを提供してくれる方、

みんなみんな、楽しそうでした。


ちなみに、今年「デカフォレスト(完走10回目)」の栄誉を手にしたランナーも、

「今年が一番きつかった。途中で吐いてから一切食事を受け付けなくなってしまい、本当にきつい大会だった」

と、デカフォレストの称号授与式で語っていました。

すると、インタビュアーさんは

「では次はユプシロン(完走20回)目指して、来年も来ていただけますか」

と聞かれると、

「今日はもう何も考えたくない、とにかくゆっくり寝たいです」

と答えていましたが、きっとこの方も来年もまた来ちゃうんでしょうね。



・・・・・・・・



本当に今回は、「地獄の1丁目」どころか「3丁目」くらいまで見てきたウルトラマラソンでした。

理由は簡単、

「4度目だから楽勝!」

というおごりが、全て今回の結果に繋がったのでしょう。


今回、走りながら思いました、

「やはり真摯に、まじめに、コツコツと練習してきた人だけが、唯一思い通りのレースメイクをすることができるのだ」

ということを。

今年のマラソンは、どれをとっても「結果」の面では、ボロボロの状況ですが、人生はボロボロにならないと解らないこともあるので、今回もいい勉強をさせてもらいました。


ちなみに今年のウルトラで手に入れたものは、



完走メダルだけではないと思っています。




みんなに支えられて走った、10時間40分という時間の中に、大きな、大きな価値があったと考えています。



・・・・・・



帰宅後、

ソックスを脱ぐと、足の小指は血豆の中に体液を含んでパンパンに腫れあがり、2倍の大きさになっていました。

安全ピンで、中のものを抜くと、血だけではないもので薄められ、薄いピンク色の液が大量に出てきました。

娘がそれを見て、

「100kmも走ればそうなるよね~」

と、知った風な口をききつつ、この日持ち帰ったメダルを手に、これまで私がマラソンで手に入れたメダルをかけてある場所に、そっと今日のメダルをかけてくれました。


「イチ、ニー、サン・・・」

「これで、100kmのメダルは4個目だね!」

そう娘は言った後、ぽつりと・・・

「すごいね」

と、一言だけ労いの言葉をかけてくれました。


そう、この言葉も・・・・

今回のレースで手に入れた、大切な大切な宝物の一つです。




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夢追人さんへ
拍手コメントありがとうございます。

おかげさまで完走することが出来ました。まだまだ地下不足の中、来年もきっと参加することになると思いますので、疲労が抜けたら、又トレーニングを再開します!
ブログ管理者 2016/05/24(Tue)13:09:34 編集
「久しぶりです」さんへ
拍手コメントありがとうございました。

お名前ランに「久しぶりです」と記載されてらしたので、「久しぶりです」さんとさせていただきました。

さて、「久しぶりです」さんも4度目のウルトラを来月に控えてらっしゃるんですね。
ウルトラは、長丁場のレース中に何が起きるかわかりませんので、本当に気を付けて頑張ってください。

完走できるように、応援しております!
ブログ管理者 2016/05/24(Tue)13:14:04 編集
無題
長いラン、本当にお疲れさまでした。
今回も「大変だなー」なんて他人事で記事を読んでいたんですが、

>「頑張っている」
傍から見ると、我々の行為はそう映るかもしれませんが、我々にしてみれば、
「やりたいことをやらせて頂いている」

ここからのくだりに、思わず涙が出てしまいました。
種類は違えど、私も自分の趣味を他人に見せている人間。
だからこそ、この文言が深く胸に突き刺さりました。たった一人の趣味なんだけど、それが続けられるのは、やっぱり周りの反応、応援があってこそなんだなと、今まで以上に、自分に関わる本名も知らない人たちに感謝したい気持ちで一杯になりました。

マラソンは人生だという言葉を何度かこのブログで拝見しましたが、RX-93さんの生きざまをいつも見せつけられるし、そしてこの先ランニングに関わることもない私にも、色んなことを教えて気付かせてくれます。ここに来ると、モチベーションが凄くあがるんです。
そのことにもとても感謝しているんですよ。

地獄のランお疲れさまでした。
最後のお嬢さんの一言。それにもホロリとさせられました♪
みち 2016/05/24(Tue)21:49:58 編集
Re:無題
みちさん、ありがとうございました。

今回も地獄の100kmでしたが、なんとか完走することができました。

本当にただ好きなことをやらせていただいているだけなのに、みちさんを始め、多くの方の応援をいただいていることは、本当に力になりました。

ですから、もし今回が、誰の声援も、期待もなかったとしたら、間違いなくリタイヤしていたと思います。

だからこそ感謝の気持ちを忘れずにいたいと強く思っています。

もちろん、みちさんの趣味にも全力で応援していきますから、創作活動の一端だけでもいいので、たまにはブログで紹介してくださいね!
【2016/05/25 12:07】
ナイスゴール!
連続完走おめでとうございます。
いやあ、それにしても凄い!
足の状態がよくないなか、最後まで気力が勝りましたね。
馬越峠の下り。ほんと、地獄ですよね。よく耐えました。素晴らしいです。
サブテンは残念でしたが、記録以上に記憶に残るレースになりましたね。
まずは、足の状態を戻して、来年、また、チャレンジですね。ほんと、お疲れ様でした。
ヨッシー URL 2016/05/24(Tue)23:56:20 編集
Re:ナイスゴール!
ヨッシーさん、ありがとうございました。

あのコースを走ったことのあるヨッシーさんは、よくご存知のことと思いますが、本当にきついアップダウンコースですので、完治していない足には、受けるダメージに耐えることができませんでした。

今回サブテンを逃したわけですが 、レース途中では12時間すら切れない予感もしていたときがあったので、終わってみたら結果オーライだったと思っています。

来年はリベンジレースがたくさんになっちゃいましたので、頑張らないと行けませんね。

ヨッシーさんもレースは間もなくですか?
頑張って下さいね!✌
【2016/05/25 14:21】
ありがとう!
地獄からのゴールテープ!
本当によく頑張って、走り抜きました!おめでとうござい ます!

今回で4度目の野辺山ウルトラマラソンのレポートですが、一度として同じ状態ではないレース、今回も100キロの長きに渡る心の葛藤をずっしりと感じ入りました。
100キロの長さとコースを知っているぶん尚更辛い事が想像できるので大変だとおもいます。
しかし、共通して4度の全部において感謝の心をもって完走をしてゴールテープを切っていることが、心に沁みます。RXさんの最後のありがとう!が、私もウルトラ走ってみたいと心が動かされた要因のひとつでもあるんです。
自分が走るわけでもないのに、たくさんの人々がコースを見守ってくれて、何日もかけて準備してくれて、夜中から起きてくれて、飲み物食べ物だしてくれて、ずっと応援してくれて、はじめて整うウルトラマラソン。どんなにたくさんの方々が関わってくださってることか!

あと、3週間を切っていますが、RXさんの足の辛さと気持ちの頑張りを糧に頑張って、感謝のゴールしたいとおもいます。
だけど、とてつもなく怖いです……。




ペンギン 2016/05/25(Wed)10:06:35 編集
Re:ありがとう!
ペンギンさん、ありがとうございました!

今回4回目のウルトラでしたが、ウルトラという競技は、本当に毎回違う地獄を見せてくれるので、本当に毎年萌えてしまいますww

ただ、ペンギンさんもおっしゃる通り、4回目となると、へたにコースを熟知している分、どこまで行かないとこの坂が終わらないかとか、この次に地獄の坂が待ってるとか、色々わかってる分、精神的に辛い事もありました。

でも、そんな中でも沿道からの声援やエイドの声に支えられ、励まされたおかげで力が湧いて来るんですよね。

さて、ペンギンさんは、これまで個人的にエイドを作って、ランナーを支える側にいましたが、いよいよ今年はウルトラランナーとして支えられる側に立ちますね。

道中は色々な心の葛藤があったりするかもしれませんが、きっと沿道の声やエイドの声に多くの力を分けてもらえる実感があると思いますので、ゴールの際は、感謝の意味も込めて、最高の笑顔でゴールテープを切って下さいね。

今度は私が応援する番ですので、精一杯の念を送っておきます!

ペンギンさん、がんばれー(^-^)/
【2016/05/25 15:47】
無題
ウルトラマラソンの完走おめでとうございます。お疲れ様でした。

正直言うと、フルを何度か走っている私でもウルトラを走る人はどうかしていると思ってしまいます。

ただ、RX-93さんの記事を見ると、フルのゴールでは得られなかったものが、ウルトラでは得られるのではないかと考える部分がありました。

でもフルの2.4倍近い距離。。。10時間以上のラン。。。
自ら地獄に飛び込んで行っている気がします。。

でもそれをゴールできた達成感は凄いものになるだろうと想像できます。


とりとめもない話になってしまい失礼しました。
ゆっくり休養してください。ブログ更新を楽しみにしています。
キャップ 2016/05/25(Wed)23:45:42 編集
Re:無題
キャップさん、ありがとうございました。

確かに百キロのウルトラはフルの2倍以上を走る気の遠くなるような競技です。
だから普通の人は「やろう!」とは思わないレースだと思いますが、フルとは違って止まったり歩いたりしながらでもいいし、エイドではゆっくり食事や話をしながらでもいいという、マラニックの要素が高いので、フルとは違う楽しみがあります。

とはいえ、楽な距離ではありませんので、足の痛みを中心に、身体中の至るところに発症する痛みと、極限の疲労という「死地」に向かう覚悟はいるんですけどねw

キャップさんもいつか、この地獄のレースに足を踏み入れてみてはいかがですか?
意外と楽しいですよ
【2016/05/26 09:27】
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